2019 大相撲 夏場所 13日目
大関復帰に足踏みの続く栃ノ心。今日の相手は好調朝乃山である。相四つなので取りやすいか。
御嶽海は竜電との一番。立合いは互角だが、押し切れない御嶽海が引いてしまったところを竜電がいっきの押し。竜電は嬉しい勝ち越しをきめた。
碧山は阿炎との一戦。体の大きな碧山相手には引きも押しも上手くいかず押し出しで敗れる。碧山は勝ち越しも狙える星になってきた。
栃ノ心と朝乃山の一番は、栃ノ心が肩透かしで朝乃山を下したかに思えたが、栃ノ心の右のかかとが蛇目についているとの物言いがつき、5分近くの協議の末に、朝乃山の勝ちとなった。栃ノ心はまたも黒星で前半の好調ぶりが嘘のように低迷している。
逸ノ城は遠藤との取り組み。遠藤の左を抱え込んだ逸ノ城が小手投げで遠藤を下す。逸ノ城は再出場が吉と出た形。
豪栄道は正代との一番。豪栄道が正代に差し手を許さずひたすらに突き押して正代を押し出し。豪栄道は9勝とした。
結びは鶴竜と高安。立合いから低く当たった鶴竜が高安を押していったが、土俵際で上手くいなした高安が鶴竜を押し出す。鶴竜は優勝に一歩後退する黒星となってしまった。
朝乃山が栃ノ心を下して単独トップに躍り出た。鶴竜との直接対決がない限り、鶴竜の自力優勝が潰えてしまった。今場所はどうなるのか、先行きが不安である。
【追記】
NHKのビデオではどうも、栃ノ心のかかとは蛇目にかかってないように見える。誰が栃ノ心の足を出ていると判断したのか、現場検証はきっちりできたのか、ビデオをどれくらい精査したのか、、
疑念が尽きない判定となっている。
第60期 王位戦挑決リーグ 羽生九段vs谷川九段
羽生九段は勝てばプレーオフ以上が確定するだけに絶対に負けられない．
谷川九段とは数多くの対局をしている羽生九段だが本局はどのような戦いになるのだろうか．
羽生九段の後手番で，☗7六歩☖3四歩☗2六歩☖4四歩☗4八銀☖3二銀☗5六歩☖4三銀☗6八玉☖8四歩☗7八銀☖3二金☗2五歩で後手雁木模様vs先手居角左美濃．
☖3三角☗5八金☖6二銀☗6六歩☖6四歩☗7七銀☖6三銀で先手が銀を立つ．
☗7八玉☖7四歩☗7九角☖7三銀☗6七金☖6二飛で先手は矢倉へ組み換え，後手が右四間飛車の攻め．
☗2四歩☖同歩☗同角☖同角☗同飛☖2三歩打☗2八飛で昼食休憩．
休憩明けは☖4二玉で居玉を解消，☗6八金直☖7二金☗3六歩☖6一飛☗9六歩☖9四歩☗3七桂☖1四歩☗1六歩☖5四歩☗4六歩☖3三桂☗2六角打☖2四歩☗4五歩☖同桂☗同桂☖同歩☗4四歩打☗5二銀左☖8五桂で先手は角を生かした拠点を作り，後手が玉側からの反撃を試みる．
☗8六銀☖6五歩☗同歩☖6六歩打☗5七金☖5三銀で先手が長考する．先手からは反撃の筋が見えており，後手が苦しい恰好に思われるが．
☗3七桂打が急所の一手で後手は受けが難しい．
☖2五歩☗同桂と後手が逆転の一手をひねり出す．
☖7三桂打☗2九飛と先手が勝ち急がずに角打ちの筋を消す．
☖6五桂☗6六金☖6四銀直☗2四歩打☖5七角打と後手から勝負手が繰り出される．
先手は少し考え，☗同金☖同桂成☗同歩成☖同金☗4三角打と寄せに行く．
☖5一飛☗6五歩打と先手が少し手を戻したが，これは決めきれないと見たのか．
☖2八歩打で形成不明になり，☗同飛☖2七歩打☗1八飛でやや後手が形成を有利に持っていく．
☖4四銀☗2四歩打☖4三玉☗2三歩成で先手がと金を作るも拠点の歩と角が居なくなり，後手先手の攻めが難しい．
☖2九角打☗3三桂成☖同銀☗同と☖同玉☗4三銀打☖2三玉にて先手投了．
まだまだやれたと思うが，何があったのだろうか．94手まで後手の勝ちとなった．
これで羽生九段の勝利かつ，1433勝と歴代タイ1位となった．王位戦はプレーオフ以上確定なので，是非頑張ってほしい．
【追記】
白組は中村七段が破れ、永瀬叡王の勝利となったため、羽生九段と永瀬叡王のプレーオフとなった。羽生九段には是非前回の雪辱を晴らしてほしい。
2019 大相撲 夏場所 12日目
栃ノ心は今日こそ大関復帰を決められるか．優勝争いも激化してきた．
御嶽海が大栄翔との一番．両者とも勝ち越しに暗雲が立ち込めており，何が何でも勝ちたい一番．大栄翔の押しに引いてしまった御嶽海だが，うまく回り込んで大栄翔の隙をついて下から手をあてがい押し出した．これで御嶽海は勝ち越し王手．
再出場の逸ノ城は碧山戦．負け越しが確定している逸ノ城だが，なるべく番付を下げないために強硬出場か．碧山が押し切れず，逸ノ城に組み止められてしまったが，やはり碧山は重く，逸ノ城も決めきれずもろ差しを許してしまう．しかし四つ身が苦手な碧山も攻めきれずに最後は右四つに組んだ逸ノ城が寄り切った．
大関復帰を決めたい栃ノ心は平幕明生との取組．初顔だがどうなるか．立合いで低い明生が栃ノ心に何もさせず寄り切りで勝ち．栃ノ心はあと一歩が及ばない．
高安は阿炎との一戦．立合いから直ぐに引いた阿炎に崩れた高安．昨日と同じことになり，阿炎は三役昇進が見えてきた．
豪栄道は宝富士戦．宝富士が左上手を取ったが，豪栄道は得意の右差しで攻めをいなして最後は寄り倒し．何とか勝ち越しを決めた．
鶴竜は竜電の挑戦を受ける．立合い竜電を組み止めて，前に出られるも，巻き替えに乗じて体を入れ替え竜電を寄り切る．横綱として連敗はせず，優勝争いに踏みとどまった．
2019 大相撲 夏場所 11日目
栃ノ心は大関復帰の10勝を果たせるか．今日一番の注目取り組み．
御嶽海は遠藤との一戦．立合いで前みつを取った遠藤が御嶽海の攻めをしのぎ切って最後は寄り切り．御嶽海は勝ち越しに暗雲が立ち込めてきた．
大関復帰の一番は阿炎が相手の栃ノ心．合口がいい相手ではある．立合い諸手で立った阿炎が栃ノ心の体を起こして叩き込み．栃ノ心は無念の2敗．大関復帰は明日へ持ち越しとなった．
豪栄道は竜電との取り組み．立合いできっちり右上手をとった竜電が豪栄道の攻めをしのぎ，最後は上手出し投げ．竜電は豪栄道初勝利で勝ち越しに大きく近づいた．
高安は碧山戦．立合いは互角だが引きと押しを繰り返す碧山に高安が攻めきれず，迷ったところを碧山が一気に押し出した．高安も手痛い一敗を喫した．
結びは鶴竜と妙義龍の取り組み．負け越しが危うい妙義龍は立合いからひたすら攻め切り，鶴竜がたまらず引いてしまったところを押し出しで金星．
鶴竜・栃ノ心は優勝が遠ざかってしまう敗戦となってしまった上に上位陣が総崩れという大波乱の終盤戦の幕開けとなってしまった．
一敗朝乃山がどこまで星を伸ばしてくるかが今後の優勝を大きく左右することになってしまった．
2019 大相撲 夏場所 10日目
勝って大関復帰に王手をかけたい栃ノ心と，大関取りへの足掛かりにしたい御嶽海の一番は本日の注目の取り組みであろう．
碧山は遠藤戦．立合い直ぐに叩いた碧山になすすべなく手をついてしまった遠藤．負け越しが近づいてしまった．
栃ノ心は御嶽海との大一番．合口は栃ノ心が良いが，今場所の御嶽海は相撲の上手さが光る．立合い栃ノ心の踏み込みが鋭く，左上手が早い．御嶽海も右下手をねじ込むも栃ノ心の電車道．これで栃ノ心は一敗を守った．
高安は竜電との取り組み．合口の良くない高安だが，今回は左四つで圧倒する．形が作れれば，圧倒的な力を出す．
豪栄道は隠岐の海戦．変化気味に立った豪栄道だが，隠岐の海に左四つに組まれるも，何とか耐えて，最後は突き落として勝ち切った．大関が3敗で優勝戦線に残った．
鶴竜は阿炎との取り組み．立合いのど輪で鶴竜の出足をくじいたが，鶴竜がうまく耐え，最後はいなして突き落とし．横綱として連敗はしなかった．
中盤戦が終わり，一敗力士が全て残った．終盤戦の上位同士の星のつぶし合いで優勝争いが激化する．
第67期 王座戦 挑決トーナメント 羽生九段vs近藤六段
王位戦に続き羽生九段がタイトル獲得に近いのが王座戦。しかしトーナメントの山はトップクラス揃いで激戦は必至である。
羽生は後手番で、☗2六歩☖3四歩☗7六歩☖8八角成で一手損角換わり。
☗同銀☖2二銀☗6八玉☖6二銀☗4八銀☖6四銀☗7七銀☖6三銀で後手は8筋を保留した指し回しをみせ、☗3六歩☖3二金☗2五歩☖3三銀☗3六銀で先手の早繰り銀となる。
☖7四歩☗5八金☖7三桂☗4六銀☖7二金☗7九玉☖8一飛☗7八金☖8四歩☗6六歩☖6二玉で後手が右玉に構える。
☗9六歩☖9四歩と進んで昼食休憩。
休憩明けで、☗3五歩と開戦になる。
☖同歩☗同銀☖1四歩☗4六銀☖3一飛で後手が飛車を3筋に振る．歩交換を逆用した形だ．
☗5六角打☖2二金☗3五歩打☖1五歩に先手はやや熟慮して☗7五歩と桂頭に攻めを移す．
☖同歩☗8六銀☖7六歩☗7五銀に☖4四銀と攻めの一手．
☗2四歩☖同歩☗同飛☖2三歩打☗同角成で馬を作り，攻め込む先手．
☖3五銀☗同銀☖同飛☗3二馬と先手は駒得＋馬作りで大きなポイントを稼ぐ．
☖3九飛成と後手も踏み込み，☗5九銀打☖4八銀打☗6九金打☖4九銀成☗同金引にて夕食休憩．
休憩明けで直ぐに☖7七銀打と打ち込む．☗2三馬☖2二歩打☗7七馬で先手の馬が手厚く，後手の攻め込む手順が見当たらない．
☖3三角打☗3四飛☖7八銀不成☗同馬☖2八龍☗7四銀打で先手の反撃が始まる．
☖2五龍☗3四歩打☖2八龍☗6八金右☖7七桂打☗同桂☖同歩成☗同馬と後手が苛烈に攻め立てる．
☖8五桂打☗8八馬☖7八歩打☗同馬☖7七歩打☗4五馬☖7四銀☗同銀☖5四銀打で局面は先手に分がある．
先手は一分将棋になり，☗6三銀打と強引に銀をねじ込む．しかし，一手違いの悪手らしく，先に5五桂なら先手が押し切れそうな局面だった模様．
☖同銀☗3三飛成で後手も一分将棋になる．
☖同桂☗6三銀成☖同金☗同馬☖同玉☗4一角打☖5二銀合☗7五桂打☖5四玉にて先手投了．102手まで後手の勝ち．先手玉は詰めろがかかっており，後手玉は捕まらない格好である．
近藤六段にとっては非常に悔しい逆転となってしまった．羽生九段の次戦は藤井七段vs佐々木五段の勝者であり，若手のエースとの一局であり今からどのような将棋が見れるのか非常に楽しみである．
2019 大相撲 夏場所 9日目
貴景勝が再休場ということで，不戦での勝ち越しを決めた栃ノ心．合口の悪い相手だっただけに優勝に大きく前進したのは確かだが，きちんととって勝ち越していれば流れを引き寄せられたのにとも思う．
御嶽海は北勝富士との一番．激しい立合いにひるまない御嶽海が攻め，北勝富士は引いてしまう．そのまま御嶽海が一気に押し出し．一方的な相撲になってしまった．
碧山は琴奨菊との取り組み．立合いから碧山の一方的な突き押しにあっさり土俵を割る琴奨菊．先場所と同じ負け方をしてしまった．
豪栄道は阿炎の挑戦を受ける．阿炎の勢いのよい諸手突きを冷静に対処して引き落としで破る．阿炎はリベンジならず．
高安は妙義龍戦．非常に力の入る相撲で，お互いに決め手を許さず長く組み合う．妙義龍が巻き替え時に寄られるも，うまく耐える．高安はもろ差しを許さず上手く組み止める．最後は妙義龍がもろ差しを狙ったところを一気に寄り切りで高安の勝ち．
鶴竜は隠岐の海との一戦．万全の相撲で一気に寄り切り．昨日の敗戦を生かし，強い内容であった．
一敗力士は，栃ノ心含め，勝ち超しを決めた．中盤戦最終日でそろそろ優勝圏内の力士同士が組まれ始め，非常に面白い取り組みが続く．
