はやぶさ2 リュウグウへの着陸成功!
約4年の時を経て,ついに着陸とサンプル採取の弾丸発射を成功させたはやぶさ2.
我々は,新たなる偉業をまた一つ目撃することとなった.
なお,昨年9月にはすでに,MINERVA II による人類初の小惑星探査を成功させている.
小惑星リュウグウは直径0.7km,重量4.5E^11程度しかなく重力が非常に小さい(微小重力).
その為,小惑星への降下には非常に精密な制御が要求される.
また,MINERVA II のような探査機が小惑星上を移動するのに,我々が普段考えるような方法では駆動力があまりにも大きすぎて容易に重力圏脱出速度を超えてしまう.
そこで編み出されたのが,インナートルカと呼ばれる重りを探査機内部で回転させることにより,角運動量保存則と作用反作用から跳躍させるシステムである.
これが微小重力天体上では非常に有効で,現にMINERVA II は探査を成功させている.
ちなみに,小惑星を探査する意義は,太陽系形成当時の情報が存在し,それが今の地球やその他惑星の形成進化を説明できるものと考えられているからだ.
小惑星のサンプルを調査することで,太陽系形成初期の元素分布がわかり,いかにして今の状態まで遷移したかが推察できる.場合によっては,なぜ地球にのみ生命が発生したかの手がかりになるかもしれない.
はやぶさ2は昨年6月にリュウグウ上空20kmに到着し,様々なオペレーションを周回しながら行ってきた.
主に地形などの撮影や重力の局所性の確認である.
これらのデータから着陸地点を選定し,ついに本日着陸シーケンスへと突入したのである.
着陸制度は6mオーダーで非常に高精度な制御が要求される.
初代はやぶさの時は着陸時の通信トラブルがあったり,サンプル採取用の弾丸が発射されなかったりと,辛酸を舐めた思い出がある.それでもなおサンプルを採取し,帰還できたのは一重に奇跡であるとしか言いようがないが.
はやぶさ2では,はやぶさの基本設計は引き継ぎつつ,対トラブル性能を強化した設計となっており,ここまで順調にやってきた.
そして本日,ついにタッチダウン(着陸と離陸)と弾丸発射が敢行され,成功したとの報告が上がった.
初代はやぶさでは日の目を見ることがなかった技術の検証がなされることで,今回のプロジェクトに携わった人々の感動は想像に難くない.
NASAと比較すれば,予算規模が1/10と言われる中で,技術を工夫し,人類初の偉業を成し遂げたはやぶさ,はやぶさ2は本当に誇りに思う.
何より,宇宙分野に携わる人々に大きな勇気と感動を与える.
暗いニュースも多いけれど,こうした明るいニュースで人々が盛り上がってくれると嬉しい.