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第77期 順位戦C級1組 10回戦 藤井七段vs近藤五段

順位戦19連勝かつ師弟同時昇級という記録のかかった大一番である.

師匠である杉本七段も和服で臨むという気合の入れようだ.

手版は藤井七段が先手番で,戦法は角換わり腰掛銀4八金・6二金型である.▲6六歩△5四銀▲5六銀に対して後手は△4三銀と引く手を選択.▲6六歩から△6五歩の後手からの仕掛けは先手が有利に持って行けるらしい.

互いに端歩は受け合い,先手は玉を▲6九玉~7九~8八として,後手からの仕掛けを警戒する手待ち戦術を取って,後手は4一~5二~4二とやはり手待ちを選択.お互いに間合いを計っている.

そこで,45手目▲4五桂と跳ねた.これは,新人王特別対局の対豊島二冠戦は順位戦A級の深浦九段vs稲葉八段戦などで出てきた形だ.

後手は△2二銀と下がる.次に△4四歩と桂馬を狙いに行く.

そこで▲3五歩△同歩▲6五歩△同歩と歩を突き捨ててから,▲5五銀として銀を進出させる.

対して後手は△3三桂と先手の桂馬にぶつけに行く.ここで昼食休憩.

休憩後,▲1八角と遠見の角を打つ.これは▲3三桂から▲6三角成~▲7二銀打と二枚代えを狙っている.

そこで△8二飛と上がって,▲2四歩△同歩▲同飛と歩を手持ちにする.後手も,飛車先を受けずに△8六歩と飛車先の歩を突く.これも前例があり,一時間の長考で▲同銀と応じる.

対して後手は△2三金と飛車を追う.そこで,▲6四歩打と銀取りに歩を打つが,これは△2四金と飛車を取ってしまうと,▲3三桂成から攻められてしまう.

よって△5二銀と引いてから,▲3三桂成△同玉▲2九飛と飛車を引く.

後手も40分近く使って,△2三歩打とした.

そして再び,一時間以上の長考で,▲4五角と出る.△4四歩ときたら▲2三角成と角を切って行き,攻めを続ける狙いだ.

順位戦らしく,中盤の一手一手がじっくりとしていて,この場面で,夕食休憩となった.

後手も夕食休憩を挟んで,一時間超の長考の末,△9五歩と端に手をつけた.▲同歩に対し,将来的に香車を吊り上げ,駒が入り次第,端から狙ってゆく.

そして,本命の△4四歩▲2三角成△同玉▲4五歩と進み,後手は△8四桂打と端攻めの形を作る.

▲7七銀と引いて,7四地点を受け,後手は△8五桂とさらに迫ってゆく.

先手は▲4七桂打と攻め合いの意思を示す.

30分ほどの考慮で△3二玉と一旦玉を逃がした.さらに▲2三歩打と銀を追う.△1三銀とかわし,▲3四歩打.

先手のと金作りが見えているので,後手はミスが許されない状況になってきた.

そこで△9八歩と端に手をつける.

しかし先手は最後の長考で,▲2二歩成と踏み込む.

△同銀▲3五桂として飛車を敵陣になりこむ狙い.

 後手が△9九歩成と香車を取り,先手は▲2四飛に△2三歩打▲同桂成△同銀▲3三金△4一玉▲2三飛成と飛車を成り込む.

後手は△8一と▲同玉△5一玉と一旦桂馬を取ってから玉を逃げる.

そこから▲2一龍に対して,一番難しい△4一桂打と桂間をした.次の手が難しい.

どうやら▲2二歩成では詰めろが続かないらしく,後手有利の局面になってきている.

残り時間10分から少し時間を使って▲4三銀打とする.詰めろではないので,先手玉に詰みがあれば後手の勝ちとなる局面.

△7七桂不成と王手で迫る.藤井七段は一分将棋となり,▲同金.

後手は△8五桂打と手を緩めない.

先手も▲4二金と迫ってゆくが,冷静に△6一玉▲5二銀成△7二玉▲6二成銀△7二玉▲7二銀打△同飛と応じて,後手勝勢の局面になってしまう.恐らく形作りか.

▲同成銀として下駄を預ける.この時点で△7七桂不成からの17手詰め.

▲8八玉に△7九銀打でも△7六桂でも詰む.本譜は△7六桂から行き,▲7七桂△6六銀打!これでも手数は長いが詰みである.以下,本譜の進行.

▲同銀△8八角打▲6七玉△6六角成▲5八玉△6七角打▲4七玉△3六銀打▲3八玉△2七銀打▲同龍△同銀不成▲同玉△4五角成▲3六金打△同馬▲同玉△3五歩打▲2五玉△2六金打にて投了.136手で近藤五段の勝ち.

以下,▲同玉△3六金打▲1七玉△2七飛打▲1八玉△1七香打まで.

 

やはり,敗因は▲2二歩成らしい.藤井七段は記録がストップして,自力昇級はなくなってしまったが,まだ可能性はある.

師匠も敗れたらしいので,1敗が4人であり,次回が非常に白熱した戦いとなる.