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第12回 朝日杯将棋オープン戦 決勝 渡辺棋王vs藤井七段

本局が初手合となる両者だが,現レーティング1位の渡辺棋王と今年度最高勝率の藤井七段という最高のカードであろう.

渡辺棋王の先手番となった.

初手▲2六歩△8四歩とお互い居飛車宣言.

そのまま▲2五歩△8五歩から▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩から▲6六歩と雁木模様の出だしに.

△3三角▲6八銀△4二銀▲4八銀△6二銀▲7八金と相雁木の将棋になる.

△4四歩▲5八金△7四歩▲6七銀△4三銀▲3六歩△5二金と先後同型に進む.

▲6八玉に△7三桂と先手は駒組みを,後手は攻め形を整える.

▲9六歩△9四歩に▲4六歩と先手は腰掛け銀にする.

後手は△1四歩▲1六歩から△4一玉と玉の形を決める.

先手も▲7九玉と角を使える形にする.

後手が一手一手時間を使う展開になる.

△6四歩に▲3七銀と斜め棒銀や角頭攻めを含みにする.

△6三銀と腰掛け銀で受けに手を回す.

▲2六銀で棒銀攻めを見せ,△5四銀右.

先手は少し考え,▲3五歩と開戦.

△同歩は先手が良くなってしまうので,△4五歩と反発する.

先手は▲同歩と強く受ける.対して後手が△5五角と飛車に当てる.

▲3七銀と一旦引いて受け,△3五歩と歩を取り払う.

▲5六歩△3三角と角を引かせて,▲4六銀と先手は再び棒銀の形を作り△3四銀と受ける.

 先手も時間を使い,▲7五歩を桂頭を狙う.

後手も△8四飛と浮いて受ける.

そこで▲2四歩と手を戻す.

△同歩▲6五歩△同歩に▲5五歩と角交換をしない方を選ぶ.後手を押さえ込む方針か.

△6三銀と引いて,▲7四歩△同飛▲7六歩.

この手で後手が一分将棋になる.

△8四飛で先手も一分将棋となる.

▲3八飛と角頭攻めを決める.後手も△7五歩打と攻め合いの姿勢を見せる.

▲3五銀△同銀▲同飛△7六歩でお互いに攻め合いになる.

先手は▲8八角と一旦引き,後手も△3四歩打と受ける.

▲3六飛と引いて,△7五銀打と攻めを厚くする.

▲7六銀△同銀▲同飛と後手の攻め,先手の受けという構図となる.

△7五歩打▲3六飛△8六歩▲同歩△7六銀打と先手玉近くに前進してゆく.

先手も,▲8七銀打から△同銀成▲同金△7六銀打▲7八銀打△8七銀成▲同銀と金銀交換に.

△6六歩と拠点を作りつつ,▲5六銀打△3五金打と飛車を抑え込む.

先手が苦しい局面で,▲3九飛△4六金▲4七銀打△同金▲同金で先手陣が乱されてゆく.

後手有利の形勢に傾き,△6四銀と盤上の駒を活用する.

▲6八歩打と受けるも△5五銀▲4四歩と紛れを求めるが,△8五歩打と飛車先をこじ開けに行く.

▲5五銀と仕方なく銀を取り込み,△8六歩▲同銀△同飛▲7七角△8七飛成と龍を作る.

▲7八金△8四龍▲4三銀打と先手も一瞬の隙を突いて後手玉に迫る.

後手も△8八歩と徹底的に攻め合う.

先手は▲6九玉と玉を早逃げする.

△4六歩▲3二銀成△同玉▲4六銀△8九歩成とじわじわと玉を追い詰める.

▲2二歩打とさらに紛れを求める.

後手は△5四桂打から寄せを目指す.▲2一歩成△4六桂と銀を4枚手持ちにする.

▲同金△5七銀打で詰めろ金取り.

▲5八歩打と受け,△4六銀成▲6六角と角を使えるようにして,逆転の芽を探す.

△4七銀打と詰めろを継続する.

▲3四飛で玉の逃げ道を確保する.そこで△4四龍という鬼手が出る.

後手は▲4四角と首を差し出した.

以下△5八銀から5手詰め.▲同玉△5七銀打にて先手投了.

128手にて後手の勝ち,以下,どこに逃げても金打ちで詰み.

 

現最強の渡辺棋王に対して,早指しとはいえ,圧倒する将棋は非常に恐ろしい.

これで,朝日杯を2連覇と羽生九段に迫る記録を打ち立てた.

来年度中のタイトル獲得も期待したい.