第60期 王位戦挑戦者決定リーグ 羽生九段vs澤田六段

王位戦の挑決リーグを黒星先行させてしまった羽生九段は挑戦のためにもこれ以上は負けられない．

羽生九段の後手番で，▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲3八銀△7二銀で飛車先保留の相掛かり．

▲9六歩△9四歩▲1六歩△1四歩▲7六歩△8六歩▲同歩△同飛▲2四歩△同歩▲同飛で端歩を突き合ってから飛車先を交換する．

△2三歩打▲2六飛△8二飛▲8七歩打△6四歩▲3六歩△3四歩▲3七桂△4二玉▲6八玉△6三銀▲4六歩△5四銀で相腰掛け銀模様になる．

▲2四歩打△同歩▲同飛△8八角成▲同銀△2二銀▲2九飛△2三歩打で角交換を行う．

▲4八金と上がったところで，昼食休憩．

休憩明けで△5二金▲4七銀△3三銀▲4五歩で後手が駒組を先手が攻め形を作る．

△4四歩▲同歩△同銀で戦いが起こる．

▲1五歩△同歩▲1四歩打△4六歩打▲5七銀△3三桂▲1三歩成△同香▲2四歩打△同歩で先手からの端を絡めた攻めを見せる．

▲1五香△1八角打▲2八飛と角成を急かす手を指すが，これこそが後手の狙いで，△1五香▲2四飛△4七香打で後手が勝負を決めに行く．

▲3八金△2三歩打▲1四飛△2九角成で金取り．

先手も最後の抵抗で▲2四歩打とするも，手抜いて△3八馬▲1二飛成△2二金打で先手からの攻めがない．

▲1一龍△4八香成▲6九銀△3七馬▲1三歩打△3五桂▲1二歩成△4七馬で先手玉に詰めろ．

なので▲8六歩と玉の逃げ道を確保するも，△5七桂成▲7七玉△6九馬でやはり詰めろが継続する．

最後は▲2二とで首を差し出し，△6七成桂▲同玉△7五桂打まで先手投了．

88手まで後手の勝ち．

投了図以下，▲同歩△5八馬▲7七玉△7六銀打▲6六玉△5五銀左などの7手詰め．

澤田六段としては中盤の難所での悪手が悔やまれる．羽生九段の踏み込みが冴えわたる将棋であった．

王位戦のリーグは強敵揃いなので，羽生九段のタイトル100期を期待する身としては今後もワクワクした勝負がみられると思うと非常に楽しみである．